手嶋兼輔 「ギリシャ文明とはなにか」

タイトルからすると大仰な文明論みたいだが、内容はどちらかというと歴史的なお話が多く読みやすかった。
印象的なのは古いオリエント文明(エジプトやメソポタミア)に比べギリシャは大変貧乏だったという記述。アテネのパルテノン神殿や哲学・文芸の大いなる遺産を思うと貧乏だったとは信じがたいが、ギリシャ人がエジプトやペルシャに傭兵として出稼ぎしているのは史実。貧乏でなければ傭兵商売なぞやらないはずで、確かにギリシャは貧乏、というより貧乏なギリシャ人もいた、というのがより正確だろう。ギリシャも地域差がありアテネは潤っていたかもしれないがペロポネソスの内陸部アルカディアは貧乏だったらしい。傭兵業で一番傑作なのはアテナイ人クセノポンが参加したもので雇い主はペルシア王アルタクセルクセス2世の弟キュロス。ギリシャ人傭兵団はキュロスに給料5割アップなぞ要求しながら戦う相手を知らなかったらしいから間が抜けている。これから戦うのはあんたたちの故郷だよ、と言われたらどうするつもりだったのか。実際は敵は本能寺にあり、という感じでキュロスが兄王に謀反。しかしキュロス自身はあえなく戦士。取り残された傭兵団は艱難辛苦のあげくようやくギリシャ植民市の黒海沿岸現トラブゾンに到達。これら一連の出来事はクセノポンの著書アナバシスに記述されているとのこと。どうも大局が見れないところが我が日本人と一脈通じるところがある。

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