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zoom RSS 田近英一 「凍った地球 スノーボールアースと生命進化の物語」

<<   作成日時 : 2017/08/12 16:10   >>

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平易に書かれていて非常に読みやすい。台風一過のくそ暑い日に図書館に涼を求めて本書を見つけ、半日没頭して暑さをしのげ、おまけにスノーボールアースすなわち全球凍結というビッグイベントを含む冥王代−太古代−原生代−顕生代と続く地球史の概要が理解できたのは大きな収穫であった。

本書によると全球凍結は3回起こった。1回目は原生代前期の22憶年前。その時のシナリオは以下の通り。
@27憶年前 シアノバクテリア出現。水とCO2というありふれた原料で光合成をおこなう初めての生物でメタンやCO2に覆われていた地球に酸素をもたらす。
A酸素は海水中の鉄イオンやマンガンイオンを酸化沈降させ、縞状鉄鉱石やマンガン鉱脈を作る。
B酸素が鉄やマンガンを消費しつくすと大気中に放出され、メタンを分解。これによりメタンの強い温室効果が失われ寒冷化。氷河ができだすと太陽光線が反射され地球が受け取る太陽エネルギーが減少するため、ますます寒冷化。この正のフィードバックにより一気に全球凍結にいたった。
C生命活動ほぼ停止。火山ガスにより大気中にCO2蓄積。徐々に温室効果回復。
D氷河が溶け出す。Bとは逆のフィードバックで一気に温暖化。凍結中に蓄えられたCO2と養分が爆発的な光合成活動を引き起こす。これによって現在の大気中の酸素量の12〜22倍にもなる大量の酸素が供給される。〈大酸化イベント〉

この最初の全球凍結は1回で終わった。しかし私が疑問に思ったのは、大酸化イベントで大量の酸素が供給された、ということは逆に大気中のCO2がその分消費された、ということだからまたも温室効果が失われて全球凍結に逆戻り。凍結→高温を振り子のように繰り返す不安定な状況になってしまうのではないか、ということである。原生代後期の全球凍結は2回続けざまに起こっており、このような振り子状況に陥ったことを示唆しているのではないか?
この疑問の回答として私自身が考えたのは、CO2の減少と寒冷化とともに光合成も低下する負のフィードバックが効いてうまいことバランスがとれた、というものだがどうだろうか。とにかく原生代はその後10憶年以上にわたってそこそこ安定したようである。

上述したように2回目と3回目の全球凍結は原生代後期に続けざまに起こった。7億3000年〜7億年前のスターチアン氷河期と6億6500年〜6億3500万年前のマリアノン氷河時代である。
今回の全球凍結の原因としてスノーボールアース仮説の立役者ホフマン博士が言っているのが、メタンハイドレートの分解が途絶えたから、というものである。著者の田近氏は”いまひとつ納得がいかない”と書かれているが、私も納得できない。1回目のシアノバクテリア原因説と比べるとムリクリひねり出してきた感が否めない。
問題は全球凍結の前に海水の同位体比が低下、これは生命活動の停止を示唆している点である。

そこで私が考えたのは、何らかの生命活動のバランスの崩れが2回目の全球凍結を引き起こしたのではないか、というものである。
10憶年以上の長い原生代の間、生物は何をやっていたか?見た目はあまり変わらないが、細胞内部の代謝系の進化にいそしんでいたに違いない。光合成とか呼吸系とかタンパク質の合成とか。原生代後期に至って何かが獲得され、飛躍的に光合成効率がアップし植物プランクトン大繁殖。実際に大気中の酸素濃度がアップしたことが知られている。おかげでCO2の固定化が強まり寒冷化開始。逆にそれが生物の首をしめて生命活動停止。全球凍結に至る、というシナリオである。
さらに全球凍結→温暖→全球凍結の振り子を脱出できたのも生物起因と見る。
すなわちここに至って他の生物を食って生きる動物が出現。植物の過剰繁殖を抑えるとともに有機物を分解してCO2濃度をそこそこに安定させ辛くも振り子脱出。この後のエディアカラ生物群はこの動物進化の証拠である、というもの。
う〜ん、難しいかな。だが、何らかの形で生物がからんでいるのは強く疑われる。地球と生命の共進化である。こうなってくると地質学とかだけでは手に負えない。東大は世界最大規模の地球惑星科学専攻という教育研究機関を設けたそうだから生物屋とも協力してぜひこのあたりを明らかにしてほしい。

本書を読んで、地球史が想像以上にダイナミックであることに感銘を受けた。このような事柄は現在中学校や高校で教えられているのだろうか?スノーボールアースというビッグイベントに比べたら、十字軍がエルサレムを襲撃した、とか、ナポレオンがロシアで負けた、なぞはローカルで些細な事である。そんなことより壮大な地球史を学び、本質的に安定なのは全球凍結と全溶解だけ、現代は間氷期にありからくもバランスを保っていること、などを理解する方がはるかに重要であろう。



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